H a p p a n o U p d a t e s - No.185

September 6, 2017

□ 新刊『南米ジャングル童話集』発売開始

2015年4月〜2016年6月に、葉っぱの坑夫のサイトで連載していた作品が、ペーパーバックの本とキンドル、コボの本になりました。連載時の内容に加えて、各話にミヤギユカリさんの描く水彩4コマ漫画のおまけページが付いています。読みやすく楽しさいっぱいのデザインは、⻆谷慶さんです。
詳しくこちらをご覧ください。
 

 

テキスト:オラシオ・キローガ
絵:ミヤギユカリ
訳:だいこくかずえ
装幀:⻆谷慶(Su-)
サイズ:156 × 234mm、136頁
本体価格:ペーパーバック1200円、キンドル&コボ500円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディスポ人間/Disposable People
 第9章 ハエどもの神様
 第10章 ドレッタ・カーペンター
 第11章 ガイ
 第12章 火
 第13章 自分とは
 エゼケル・アラン 著
 だいこくかずえ 訳
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http://www.happano.org/dispo-09

 

エゼケル・アランはジャマイカの作家。1970年生まれ。デビュー小説『Disposable People』で2013年度のコモンウェルス新人文学賞(カリビアン地区)を受賞。職業はビジネス・コンサルタント。

第12章「火」より
 ジャマイカの田舎で男の子が育てば、たくさんのことを見たりやったりする。いつもぼくが心を奪われることの一つは、鶏や豚を殺すときのやり方だ。鶏を殺すには二つの方法がある。一つは鶏の足をひもで縛って、それを木の枝に結びつける。そしてその頭を切り落とし、鶏がバタバタ暴れて血を撒き散らしている間、遠くに離れて待つ。もう一つの方法は鶏に穴の空いたバケツをかぶせて、頭だけ出るようにする。そして何か重いものをバケツに置いて、鶏の頭を切り落とす。この二つの違いは、あとの方はバケツの中で鶏のからだはおとなしくなって、最後の瞬間はその中に隠される。最初のやり方では、鶏がバタバタと暴れる最後のあがきを立って見ていることになる。
——
余談:
7月の芥川賞選考会の席で、温又柔さんの『真ん中の子どもたち』という作品に対して、選考委員の一人が「日本人の読み手にとっては対岸の火事」である、と評したことが話題になっていました。台湾人の母と日本人の父のあいだに生まれた主人公が、母語や「父語」をとおして自分の存在のあり方を模索する小説についてのコメントです。日本の社会では、両親のどちらか、あるいは両方が外国人であることや、移民の人々が抱える問題は、(日本人のみで構成される家族をもち、友だちや同僚にも外国人が一人もいない)日本人にとって、「対岸の火事」である、と言っているように聞こえます。

そうであるなら、この小説『ディスポ人間』など、「対岸」どころか「彼岸(あの世)」の火事になってしまうなぁ、と思いました。場所が日本じゃないし、主人公は黒人だし、ドやクソがつくほどの極貧地区の話だし。わたしの周囲でも、「なんでこんな話を聞かなくちゃいけないんだ」と日本人なら思うだろう、と教えてくれた人がいます。でも『在日二世の記憶』というオーラル・ヒストリー集を読んでいると、『ディスポ人間』のことがよく思い浮かびます。なんて似ているんだろうと。日本列島という島の連なりにたまたま住み、同じ社会を共有して生きていると思っていたら、そんなことはない、越えられない境界線がここにもあそこにもあるんだぞ、と警告を受けた気分です。


*『Elephant Stories ​サンクチュアリに住むゾウたちの物語』は今月お休みします。来月『Winkie:苦難を乗り越え、最愛の友と生きた最後の17年』、コラム『世話係ジョアンナの事故死とウィンキーのその後』を掲載します。


happano journal 活動日誌 (8.17、8.31)
http://happano.blogspot.jp/

 

08.17:『母ではなくて、親になる』を読んで
08.31:テニス界の新星、王子ズベロフと悪がきシャポバロフ

『母ではなくて、親になる』は小説家の山崎ナオコーラさんのエッセイ集です。子どものプライバシーに関わるから、子どもの性別は本の中に書かない。また自分の性別も公表しない。と書いていました。出産前にあえて、子どもが男か女か聞かずにすませ、障害のあるなしも調べなかったそうです。通常は、日本で暮らす人々の多くは、男と女をことさら区別しようとし、障害のあるなしの間にはっきりと線を引こうとしているのではないか、ということに思い至りました。

 

Web Press 葉っぱの坑夫/エディター大黒和恵/editor@happano.org
 
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