ウィリアム・J・ロング著『森の中の学校』より 訳:だいこくかずえ

Photo by vladeb(CC BY-ND 2.0)

野生動物が死を迎えるとき

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モリムシクイ

去年の夏のこと、荒野に張ったわたしのテントの後ろには小さな泉があった。わたしはそこによく行った。水を飲むためではない。そこでしばらく座り、身を隠してくれるシダや苔の間から、冷たい水が小石を踊らせながら暗い地下から湧き出てくるのを静かに覗き見るのだ。わたしがそこで見ていると、ときどき小さな野生動物たちが、かすかな水の歌を聞きつけてはやってきて、のどの乾きを潤していく。わたしの姿を見て、彼らはシダの中に身を引いて、こちらの様子をうかがう。しかし小さな水の流れが音をたてつづけていると、最後には水際にもどってきて、泉のそばにいるわたしをおずおずと友として受け入れる。

 

ある日のこと、泉を守るように垂れ下がる常緑樹の葉の茂ったところに、モリムシクイがすわっていた。数日間、彼がそこにいるのにわたしは気づいていた。葉の上で休んでいたり、下の藪に音もなく舞い降りたりしていた。水をあまり飲むことはなく、ただそこにいて、わたしと同様、この場所が好きなようだった。

 

このモリムシクイは年老いていて、友はいなかった。濃い色の頭の毛には灰色の筋が入り、鳥が年とるとそうなるように、足にはシワがよっていた。年を経て穏やかさを身につけたかのように、わたしが近づいても恐れを見せず、少し脇による程度だった。ときにわたしが泉を覗き込んでいると、そばまでやってきた。

 

その日、彼はいつもに増して静かだった。わたしが彼を捉えようと手を伸ばすと、それに抵抗せず、わたしの人差し指の上に静かに身を置き、目をとじた。

 

半時間かそれ以上、ときどき眠そうにまばたきしながら、満足げにそこにすわっていた。そしてわたしが指ですくった泉の水の一滴を差し出すと、目を大きく見開いた。夕暮れがやってきて、森から聞こえていた様々な声が静まると、わたしはこの鳥を常緑樹の葉の茂みに戻した。わたしが立ち去るときには、そこでこっくりし始めていた。

 

翌朝、彼は大きな常緑樹の低い枝の上にすわり、泉のすぐ縁にいた。そこで再び、わたしの手の中におさまると、わたしの指先から嬉しそうに水を飲んだ。

 

夕暮れになって、わたしは彼がトウヒの根っこのところで頭を垂れいているのを見つけた。足をしっかりと根に固定し、くちばしを命の水につけていた。彼のよく知る、生涯愛した泉のそばで、静かに眠りに落ちていた。泉の水は彼のくちばしまで湧き上がり、モリムシクイの最後の姿をその胸のうちにとどめた。

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