フォトルポルタージュ Animals Asiaの活動紹介 瀕死の子グマ救出劇を追って
テキスト:葉っぱの坑夫
クマ農場とは
胆汁を取り出し熊の胆に利用するため、子グマを飼育している専門の農場。中国、ベトナム、ミャンマー、韓国などにある。現在、中国では野生の子グマの捕獲は違法となり、飼育施設 での繁殖法へと移行している。しかし野生のクマが捕獲された報告は今もあるという。中国では1980年代に商業的なクマ農場が始まり、数千頭の野生のクマが捕獲された。胆汁の採取は3歳から10歳くらいまで行なわれる。通常、1頭が数年間に2.2kgくらいの胆汁を採られる。胆汁採取を終えたクマは(10歳くらい)、屠殺されたり、食用の肉や毛皮として利用される。
熊の胆(くまのい):古来より中国で用いられ、日本でも飛鳥時代から利用されている。クマの胆嚢(たんのう)を乾燥させ、その胆汁から造られる。健胃効果や利胆作用など消化器系全般の薬として用いられる。日本では狩猟者が減少していることや、乾燥技術の伝承が絶たれていることなどから、熊の胆の流通量が減り、取引価格が上昇している。このため、中国などから輸入されている。(ウィキペディアより)

写真はミャンマーのクマ農場。マレーグマが小さな檻で飼育されている。
Photograph by Soggydan Benenovitch
10 Sun Bear Bile Extraction Operation in Mong La, Shan, Myanmar
Animals Asiaについて
地球上のすべての動物への尊敬と共感を促進し、現在の悲惨な状況に変化をもたらす目的で、ジル・ロビンソンにより1998年に設立された。中国では10000頭、ベトナムでは1200頭のツキノワグマが、熊の胆のために農場で飼育されていると言われる。Animals Asiaは長期にわたる活動で、そのようなクマを救助し保護している。これまでに500頭のクマを保護し、中国とベトナムの両方にクマのサンクチュアリ(保護施設)を持つ。また食用に取り引きされるイヌとネコを守る活動も同時に行なっている。さらに動物園やサファリパークで不幸な状況にある動物への活動も展開している。また政府関係者に向けて、飼育動物の扱いや管理の向上について、啓発活動を行なう。今回の密猟者の罠にかかった子グマの救出では、その身を保護するのではなく、短期間のうちに健康状態を回復させ、野生に戻すミッションを遂行した。オフィシャルウェブサイト:Animals Asia
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創設者ジル・ロビンソン(Jill Robinson)について
イギリス生まれ。子どもの頃から動物福祉に関心をもち、学校の休みには獣医のもとでボランティア活動をしていた。1985年香港に移り住み、 IFAW(国際動物福祉基金)でコンサルタントとして12年間仕事をする。1993年に中国のクマ農場を訪れたことが契機となり、1998年、Animals Asiaを設立する。現在Animals Asiaのトップとして300人のスタッフを抱え、中国とベトナムを行き来しながら獣医らと連携し、動物の健康チェックを行なう。自ら動物救助の現場にも駆けつける。動物福祉に関する名誉ある賞を多数受賞。2012年、チューリッヒ大学より獣医学の名誉博士号を、2014年、ノッティンガム大学寧波キャンパスより名誉法学博士号を与えられる。