Onondage Cave, photo by Timothy K Hamilton, CC BY-NC-ND 2.0
ミズーリ州には6000を超える洞窟がある。
新月
細く 鋭い
ガラスの 破片
new moon
thin and sharp
as broken glass
メロン
割られる 前の
暗黒
melon
before it is opened
full of darkness
鮮やかな 緑苔
木を 這う
トカゲの心 かくして
acid green lichen
on the tree
lizard spirits hiding
雪上で
月
星つぶに 変わる
on the snow
the moon
becomes stars
とどろく 雷鳴
巨大な
夜の 洞窟に
thunder echoing
through night's
vast cave
河のながれ
空を はこぶ
地を おおいながら
river
carrying sky
over earth
うずきながら きしみながら
草色ヘビ
身をほどく 春
with aches and creaks
the grass-green snake
of spring uncoils
湖の皮膚の下に
大宇宙
両の星 つなぐ
beneath lake's skin
space
from between the stars
海原の 声に
月 渇きを 覚える
ocean's voice
making moon thirsty
秋の 夕暮れ
森は
嵩を 増していく
autumn dusk
the forest getting
larger and larger
フトンを かがる
夕雨が 降りつづく
sewing the torn futon
the evening rain keeps falling
夕ぐれに とける
黒い 動脈
空を 飲む木
haw at dusk
tree's black arteries
drink the sky
冬の 灰色
どこもを
どこでもない場所にしてしまう
winter gray
turning someplace
into nowhere
冬の 日暮れ
ロウソクに 火をともす
闇が 濃くなる
winter dusk
lighting the candles
creates more gloom
夏の森
あまりの 静けさに
クモの音楽 聞きとる
summer woods
so still I can hear
the spider's music
ジョン・サンドバック『ステップ・イントゥ・スカイ』(ウェブ版)より
PODブック『ステップ・イントゥ・スカイ』(2012年新版)
ジョン・サンドバック
サンフランシスコ生まれ。生後18ヶ月のときミズーリ州カンサス市に移る。子ども時代にはピアノを弾くことが何よりも好きで、特にバッハの音楽に惹かれた。ミズーリ大学で美術史を専攻。占星術やカラー・セラピーなどの著書が複数あり、プロフェッショナルとして占星術やセラピーの仕事をしている。詩を読み、書くことを愛し、中でも日本の詩に惹かれている。