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Photo by Dru!(CC BY-NC 2.0)

丘たちの歌

愛しあうことができたかもしれない男と女の歌

アメリカ・インディアンの詩

これは丘たちが

ともに語り合うときの歌

西の空で 燃える夕焼けが山に沈み

天空には やさしさが残る

影のない けがれのないひととき

山たちがおしゃべりをはじめる時間

 

「モミの木がモミによりかかり

 風に吹かれたヤナギがまざりあう

 雲たちはたがいに引きあい

 とけあい、わかれ、また新しい雲になる

 でも強く固い丘たちは、離ればなれのまま

 

 もっと弱きものならばわたしたち、愛しあっていただろう

 身をかがめ、互いにやさしくしあっていただろう

 でも、わたしたちの両手はこうして 地の下にある

 母なる大地の産みの苦しみを

 雨にかがやく みどりの畑野を

 その中を長くのびていくあぜ道を ささえるために

 山が動くようなことがあれば

 大地は恐怖につつまれる

 

 それでも、春風が

 草原のみどりをやさしくなでていくとき

 クークー鳩が鳴き声をあげ

 クークー鳩の恋人が

 樫の谷でそれに答えるとき

 わたしたちは孵化する大地にわくわくするだろう

 わたしたちは向き合い、手をにぎり、記憶にとどめるだろう

 わたしたちが弱きものなら、どれだけ愛しあっていたことか

 どんなに気高く、やさしさに満ちたものになっていたことか」

 

 <ヨーカットの詩>

 

*ヨヨーカット:アメリカの先住民(インディアン)の一部族で、カリフォリニア州中部に住んでいる人々。現在、連邦政府の記録では、部族民は約2000人となっている。

戦士の歌

 

ぼくのために泣くな、愛するひとよ

たとえぼくが死んだとしても。

自分自身のために泣け!

 

戦士たちのために泣くな

喜びいさんで 戦いにいく者のために。

復讐するのが彼らの目的

倒され、殺されたわれら部族のために。

沈めるのが彼らの目的

わが部族がされたように、敵のすべてに

死をもたらし、そして歌う。

 

戦士たちのために泣くな

おんなたちのために泣け!

そう、すべてのおんなたちのために、泣くんだ!

 

哀れむべきは、おんなたち

帰ってこない男を待つ、

あらゆる生きもののおんなたち!

ぼくらが倒されたとき

おんなたちは、どうやって心とりつくろう?

 

ぼくのために泣くな、愛するひとよ

自分のためだけに、泣くんだ!

 

<作者不詳>

about indian's poem-j

この2つの詩は、アメリカの作家でナチュラリストのメアリー・オースティン(1868~1934年)が収集し、ヨーカットなどの部族の言葉から英訳したものです。オースティンの"The American Rhythm"(1923年)、“The Children Sing in the Far West"(1928年)には、この2つを含めた多くの詩が収録されています。

 

葉っぱの坑夫の旧サイトにある『シカ星』で、13のアメリカ・インディアンの詩を読むことができます。

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