B6判(横位置、じゃばら本)、64頁(内カラー32頁)
オフセット印刷
税込価格:¥880(2018.3.17本体価格改定)
シカ星 -アメリカ・インディアンはうたう-
The Deer-Star -Amerindian Songs-
テキスト:メアリー・オースティン
絵:ミヤギユカリ、日本語訳:だいこくかずえ、デザイン:宮川隆
夏の夜あけ、東の空低いところにあらわれる「シリウス」の名で知られる明るい星の物語。赤い線だけのドローイングとパイユートの詩が溶けあう、一枚絵による蛇腹本。表代作を含め、全13の詩を内面に収録。日本語/英語
ミヤギユカリさんのドローイングとパイユートの詩がひとつに溶けあって、沙漠の丘陵を、セージの原野を、サボテン台地を、風のように走り抜けます。一枚絵による蛇腹折り、横へ横へと繰りだされる長大なランドスケープ。詩と絵と造本がぴったり重なって生まれた、今までにない動的でダイナミックな詩画集です。
メアリー・オースティンは、アメリカの作家、詩人、ナチュラリスト。代表作は「雨の降らない土地」。
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さあ聞いて、シカ星のはなしを
ずっと昔のものがたりを
ひとりの若者が、狩りに行こうと起きだした
夜あけの青い光の中。
赤シカ狩りへと起きだしたはいいけれど
さあ狩人はどうする
矢に羽根をつけたこともなく
弓に弦を張ったこともない狩人は。
女たちは戸口から笑いのめし、娘たちは泉ではやしたてた。
だって、こんなたるんだ狩りは恥ずべきこと、見たことない。
年寄りたちは頭をふってぶつぶつ、が若者はこう言い放った。
「狩りの道具なんかなくたって、おれは赤シカをしとめるぞ」
<シカ星より>
Hear now a tale of the deer-star,
Tale of the days agone,
When a youth rose up for the hunting
In the bluish light of dawn --
Rose up for the red deer hunting,
And what should a hunter do
Who has never an arrow feathered,
Nor a bow strung taut and true?
The women laughed from the doorways, the maidens mocked at the spring;
For thus to be slack at the hunting is ever a shameful thing.
The old men nodded and muttered, but the youth spoke up with a frown:
"If I have no gear for the hunting, I will run the red deer down."
<From The Deer-star>
『シカ星』出版時のこと、制作日誌はこちらで読めます。(旧サイト内)