H a p p a n o U p d a t e s - No.188
■ ディスポ人間/Disposable People 第20章 ゴキブリサイズの人生 第21章 断片をつなぎ合わせる 第22章 ママの微笑み 第23章 マーティンと兄さん 第24章 ビヨンセとぼくがいっしょにいないわけ エゼケル・アラン 著 だいこくかずえ 訳 -------------------------------------------------------------- http://www.happano.org/dispo-20
エゼケル・アランはジャマイカの作家。1970年生まれ。デビュー小説『Disposable People』で2013年度のコモンウェルス新人文学賞(カリビアン地区)を受賞。職業はビジネス・コンサルタント。
第21章「断片をつなぎ合わせる」より コンゴに滞在しているとき、ここの山に登って、自分の規範を書くべきだ、という考えが浮かんできた。瞑想をし、それを書き留め、その規範を世界と共有するのだ。その教えはぼくの生き方を示し、何故ぼくが仲間の男やその妻を、何故『ロー・アンド・オーダー』を愛するのかを説明する。 (中略) 追伸: コンゴには一度も行ったことがない。何が起きるかなと思って言ってみただけ。ウソをつくとこてんぱんにされる、と牧師が言ってたから、ときどき試してみるんだ。 (2008年5月、日記帳より)
この章はある牧師についての話です。村にあるペンテコステ派の教会にやって来た、赤いホンダアコードに乗るシャレ男の新任牧師。沈下地区のケニーたちはメソジストで、ペンテコステ派を悪魔の崇拝者と呼んでいます。でも子どもたちは、この牧師からこっそり、アイスキャンディーを買ってもらったりしていました。その牧師が何をしたか、ケニーは起きたことをつなぎ合わせて推測します。この小説では、キリスト教や牧師のこと、聖書の一節などが、地元特産の迷信やダピー(邪悪な霊)、オベアマン(呪術師)とともよく登場します。二つの世界は問題なく共存しているように見えます。主人公のケニーはどれもを信じたり恐れたりしているようでいて、同時に疑いと皮肉を込めた発言もしています。下の下の沈下地区育ちのケニーにとって、聖なるものが存在するかどうかは、人生最大の疑問だったようです。
happano journal 活動日誌 (11.17、12.1) http://happano.blogspot.jp/
11.17:「人種」などないとしたら、民族はどうか? 12.01:文章の質について考えてみた
たいていの人は、何らかの立ち場にたっていたり、無意識のうちにも何かを支持していたりするものです。その自分の立ち位置をどれだけ客観的に見ているか、意識しているか、が文章を書くときの公平性につながり、さらには文章の質に影響するのではということに気づきました。
Web Press 葉っぱの坑夫/エディター大黒和恵/editor@happano.org
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