DISPOSABLE PEOPLE

​ディスポ人間

第36章

 あいつがトウモロコシ粉に水を入れて煮たて、黙ってゆっくりかき混ぜるのを、ぼくは憎しみを込めて見つめた。あいつが細かく砕いたガラスを入れ、鍋をかき混ぜつづけるのを、憎しみを込めて見つめた。あいつがそれに塩とコショウとネギで味つけするのを、憎しみを込めて見つめた。あいつが出来上がった鍋を冷まして、飢えた2匹の犬に与えるのを、憎しみを込めて見つめた。犬たちはこれが最後の食事とでもいうように、ガツガツと食べた。それが何かもしらずに。自分たちに何が起きたのかわからず、ガラスのかけらが腸に穴をあけ、犬たちはゆっくりと死んでいく。痛みでキャンキャン鳴く犬たちを、ジョージーのパパは黙ってそこに立ち、執念深く見ていた。
 ジョージーとぼくはそこに立って見ていた。
 ものを盗んだとされる猫や犬に、人々が何をするかよく耳にしていた。外で調理している鍋から、猫や犬が食べものを掠めとることはあるだろう。野良の猫や犬、ネズミ、その他の動物や虫に、罠や毒をしかけるのはよくあることだ。
 ジョージーのパパが見せしめをしているのを見て、ジャマイカ人の習慣を見るぼくの目が変わった。ジョージーのパパの行動が、「罪が証明されるまでは潔白」ということを無視しているからではない。そうではなくて、ジョージーのパパは同じことを人間にもやるようなやつだ、と気づいたからだ。